厚生労働省の「地域医療構想策定ガイドライン」について

1.病床機能の転換等医療機能の分化・連携の推進

退院した患者が地域で安心して療養生活を行うためには、地域包括ケアシステム内のサービスや各職種の役割を理解し、地域全体でチーム医療を構築する力量が求められる。
そのためには、医療機関の医師、看護職と地域で勤務する看護職、介護職員、ケアマネジャー等と双方の役割や業務を理解するための他職種協働研修が必要である。

2.在宅医療の充実

国民が住み慣れた地域での在宅療養を安全・安心に継続するためには、医療と在宅サービスの双方に関わる訪問看護は重要な機能であり、地域医療構想において、訪問看護の計画的な機能強化・整備拡充が必要であることを明示するべきと考える。
訪問看護の計画的な整備拡充にあたっては、市町村や二次医療圏単位等地域の実情に応じた広域的な整備拡充の視点及びサービス提供形態の多量化の視点も踏まえる必要がある。
そのため、地域医療構想の策定にあたっては、以下の2点が重要である。

(1)機能強化型訪問看護ステーションの計画的な整備の視点の盛り込みについて

今後、医療依存度が高い患者が地域において増加することを考慮すると、24時間365にち対応体制、重度者への対応や看取りの機能を強化していくことが必要となる。
平成24年の診療報酬改定において新たに創設された機能強化型訪問看護ステーションは、重度者対応、24時間対応、看取りの体制が必須である。また、地域住民等に対する情報提供や相談、人材育成のための研修を実施していることが望ましいとされている。
そのため、地域における機能強化型訪問看護ステーションの計画的な整備の必要性を盛り込んでいくべきと考える。

(2)訪問看護に関する適切な需要推計の実施について

訪問看護を計画的に機能強化・整備拡充するにあたっては、必要量の推計が適切に行われることが重要である。医療保険、介護保険のレセプト請求の分析等により、訪問看護提供部分のみならず、他職種連携や退院調整等様々な場面における訪問看護の活躍の実態を把握する必要がある。
また、訪問看護の当事者への調査・ヒアリングを通じて、今後のサービス提供量のあり方、解決するべき課題等についても把握することができる。
さらに、近年は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスや複合型サービスといった訪問看護の機能を有する新たなサービス形態が創設・増加しており、地域における在宅療養を継続する上で有用である。
訪問間おgの需要推計にあたっては、以上を踏まえ、できる限り実態に即した適切な推計を行う必要があると考える。

3.医療従事者等の確保・養成

社会保障・税一体改革では、2025年に向けて必要となる看護職員数は200万人と推計されている。これを実現するには、看護職の離職防止を図り、更なる確保定着対策が必要である。

(1)離職防止・定着促進について

看護職員の約9割が女性であり、子育てや介護といったライフイベントと切り離せ合い。そのため、離職防止・定着をすすめるためには、労働条件の整備と生活(子育て・介護等)支援の両面を進めていく必要があり、これらを地域医療構想において改めて強調するべきである。

(2)地域で働く訪問看護師の確保について

特に、訪問看護については、就業看護職員数に占める割合がわずか2%程度と、2025年に向けて十分な確保状況とはいえない。
在宅療養を支える訪問看護ステーションの約6割が看護職員5人未満の小規模事業所(出典:平成24年度厚生労働省老人保健事業推進費補助金「訪問看護の基盤強化に関する調査研究事業」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)であり、サービスの安定的な供給や、職員の労働負荷の軽減に向けて、事業所の大規模化の推進が課題となっている。
今後、医療が医療機関のみならず在宅においても提供されていくことを考えれば、日常業務で医療と介護サービスの双方に関わる訪問看護師は、これらが一体的に提供される体制の構築にあたっては必要不可欠な役割を果たす。そのため、訪問看護師の確保策が抜け落ちることのないよう、具体策を明示する必要がある。
例えば、訪問看護未経験者の採用・育成システムの整備構築や、地域の医療を支援する病院等からの出向・長期研修派遣等を視野に入れた人材の確保策を提起することにより、これまで即戦力となるベテランの採用に頼るところの大きかった確保策を抜本的に見直し、サービス提供体制の拡充に寄与する対策を明示する必要がある。

公益社団法人 日本看護協会
常任理事  齋藤宣子
引用: 地域医療構想策定ガイドライン 厚生労働省

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